第38回ブログ
Gemini CLIとClaude Code徹底解説:背景・使い方・機能比較・最新動向

Gemini CLIとClaude Codeのイメージ

■ はじめに ― AIターミナルアシスタント戦争の最前線

2025年、AI技術はターミナル(CLI)領域にも本格進出し、Googleの「Gemini CLI」、Anthropicの「Claude Code」を筆頭に、主要AI企業が開発者向けのAIエージェントを相次いで投入しています。これらは従来のエディタ補完型AI(Copilot等)を超え、「ターミナルから直接」自然言語でコード理解・修正・自動化・情報収集・Web検索まで行える「AI CLIエージェント」として、開発者体験そのものを大きく変えつつあります。

本記事では、両ツールの戦略・機能・導入方法・他CLI系AIとの比較、導入時の注意点・最新動向までを余すところなく解説します。

背景:CLI型AIエージェント登場の意味と各社の狙い

AIによるコード生成・編集はエディタ内での補完を超え、いよいよ「ターミナルからの全自動化」へ進化し始めています。
Googleは自社LLM「Gemini」を開発者コミュニティに浸透させる狙いから、Gemini CLIを無料&オープンソースとして公開し、圧倒的な無料利用枠(毎分60リクエスト・1日1,000リクエスト)を用意。ユーザー獲得と自社クラウド誘導・精度向上フィードバックの収集を狙っています。

一方Anthropicは、2025年2月に限定公開したClaude Codeを「研究色の強いプロジェクト」と位置付けつつも、強力なClaudeモデルの実用性検証・ビジネスシナリオ開拓を進めています。エンタープライズ用途(AWS Bedrock/Vertex連携)も意識しつつ、「安全なフロンティアAI」の構築を追求しているのが特徴です。

各社がCLI型AIアシスタントで開発者の“ターミナル”を次世代のAIフロンティアへと変革しようとしています。

Gemini CLIの全貌と使い方

モデル性能と無料利用枠

Gemini CLIはGoogleが2025年6月に公開した「オープンソースCLIエージェント」。バックエンドはGemini 2.5 Pro(最大100万トークン!)が動作し、巨大なコードベース全体の解析・一括対応も可能。
個人開発者向けには圧倒的な無料枠(1日1,000回・1分60回)が提供され、GoogleアカウントでOAuth認証するだけでフリー利用が始められます。企業利用や大規模並列利用もGoogle Cloud APIキーで拡張可。

導入手順 コマンド例
NPXで即時実行 npx https://github.com/google-gemini/gemini-cli
グローバルインストール(推奨) npm install -g @google/gemini-cli
gemini で起動

認証後はターミナル上でGemini CLIプロンプトが表示され、自然言語で「このディレクトリのプロジェクト構造を要約して」「このファイルをリファクタ」「テストコードを自動生成して」など、あらゆる指示が可能です。
@記号でファイル添付UI、/initコマンドで全体概要ドキュメント(GEMINI.md)の自動生成も。非対話型コマンド・CIパイプラインからの自動化にも対応します。

主な機能・特徴

Gemini CLIは「端末体験のアップグレード」を標榜。単なるQ&Aではなく、AI×コマンドラインによる開発全体の効率化・自動化を実現します。

※ 2025年7月時点では「プレビュー版」であり、一部安定性に課題あり。エージェント成熟度や安定性ではClaude Codeにやや劣る場面も。ただしコミュニティ改善提案・Googleの開発力で急速に進化中です。

Claude Codeの全貌と使い方

モデル性能と提供形態

Claude CodeはAnthropicの大規模LLM「Claude 3.7 Sonnet」等に接続して動作。
最大128Kトークンのコンテキストでプロジェクト全体の自動マッピング・リファクタリング・マルチファイル編集が得意です。
社内テストで「人間が45分かけるタスクを1回の実行で完了」など、業務生産性に大きく貢献した報告も。

導入方法:

主な機能・特徴

Claude Code最大の強みは「プロジェクト全体の理解」と「自律的な開発アシスト」。人間が見落としがちな影響範囲も網羅して修正できるため、レガシーコード刷新やTDD支援に絶大な効果を発揮します。

※ 実用にはAPI課金または有料プランが必須。WindowsではWSL前提、出力の品質は現状トップクラスとの評判ですが、自動コミット・変更適用は必ず人間がレビューすることが推奨されています。

主要CLI系AIツール徹底比較

ツール名 提供元(モデル) オープンソース 無料利用枠 主な機能・特徴
Gemini CLI Google(Gemini 2.5 Pro) ○(Apache 2.0) ○(60req/分・1000req/日) コード編集・Web検索・MCP・VSCode連携・マルチモーダル対応
Claude Code Anthropic(Claude 3.7 他) △(クライアント公開) △(要API課金/有料プラン) エージェント的自動修正・テスト・全体把握・Web検索・厳格な権限管理
OpenAI Codex CLI OpenAI(GPT-4/Codex) ○(MIT) △(APIキー/クレカ必要) ローカル実行・承認モード・画像入力対応・Python API統合
GitHub Copilot CLI Microsoft/GitHub(GPT系) × ×(有料サブスクリプション) シェルコマンド補助・コマンド説明・gh拡張・学習サポート
Gemini CLIとClaude Codeは「オールラウンド型AI CLI」、OpenAI Codexは「安全・プライバシー重視」、Copilot CLIは「コマンド操作補助特化」とそれぞれ特徴が際立ちます。

導入のメリット・注意点・現実的な制約

注意点

2025年後半の最新動向と今後の展望

Gemini CLIはプレビュー公開直後から機能追加・フィードバック反映が急速に進み、Code Assistとの連携・MCP対応強化・エージェントモードの進化が見込まれています。Claude Codeも「長時間思考モード」「応答安定性向上」等、2月の公開以来アップデートを重ね、今後は正式版化・次世代モデル(Claude 4等)への進化も示唆されています。

OpenAI Codex CLIもコミュニティ発展中で、将来的にChatGPT/CLI統合・エージェント化も視野に。MicrosoftもCopilot CLIやAIエージェント機能をVisual Studio/VSCode/DevOps全体に広げていく見通しです。

開発現場では「AIリファクタリングデー」「AI自動レビュー」など、AIと人間が協調する新しい開発スタイルが本格化。課題は多いものの、AI CLIは今後の標準ツールになるでしょう。

まとめ

Gemini CLI・Claude Codeの登場は「AIを使いこなせる開発者」が真価を発揮する新時代の到来を告げています。選択肢は多様化し続けますが、最も大切なのは「目的に合った適材適所」。ツールのメリット・リスクを理解し、最良の開発体験・効率化を実現してください。

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