第63回:VS Code v1.108(2025年12月)— Agent SkillsでAIコーディングを“手順書化”する

公開日:2026-02-01|キーワード:VS Code 1.108 / GitHub Copilot / Agent Skills / workflows / TDD
VS Code 1.108 Agent Skills

2025年12月の Visual Studio Code v1.108 は、単なる便利機能の追加というよりも、 「AIコーディング支援をどう運用するか」を一段変えるアップデートです。

中心にあるのが、プレビュー機能として導入された Agent Skills。 ひと言で言えば、Copilot(エージェント)に対して あなたの現場の手順・知識・作法を“フォルダ”として配布できる仕組みです。 「毎回プロンプトに書く」「チームで口伝する」ではなく、 AIのための手順書をコード同様に管理する——ここがポイントです。

1. Agent Skillsの仕組み:スキルは“必要な時だけ”効く

Agent Skillsは、AIエージェントにドメイン固有の知識やワークフローを教えるための仕組みで、 AnthropicのClaude Skills(現オープン標準)を起点に発展してきた流れがあります。

1-1. スキルはフォルダ+SKILL.md

.github/skills/
  └─ my-skill/
      ├─ SKILL.md
      └─ (必要なら) scripts/ templates/ data/ ...

VS Codeはプロジェクト内の .github/skills/ を自動検出し、 個人用スキルは ~/.copilot/skills/ に置くことで、どのワークスペースでも使えます。

1-2. Progressive disclosure(段階的開示)

すべての手順を常にコンテキストへ押し込むのではなく、 Copilotがまず name/description をスキャンして適用可否を判断し、 関連しそうなときだけSKILL.md本文を読み込みます。必要なら同梱ファイルも参照します。

1-3. Tools / Custom Instructionsとの違い

特にAgent Skillsは ポータブル(プロジェクトやツールをまたいで再利用可能)で、 「プロンプト芸」から「運用資産」へ移すための仕掛けと言えます。

2. 使い方:設定とスキル導入

2-1. まずは有効化(プレビュー機能なのでデフォルトOFF)

VS Code 1.108ではプレビュー扱いのため、設定で明示的にONにします。

"chat.useAgentSkills": true

これによりCopilot Chatが「Agent Mode」になり、スキルを利用するようになります。 ふつうのQ&Aモードではスキルが適用されない点に注意してください。

2-2. スキル作成(最短手順)

  1. .github/skills/ を作成(互換で .claude/skills/ も認識)
  2. スキル用サブフォルダ(例:webapp-testing)を作成
  3. SKILL.md を作成:YAMLヘッダーに namedescription
  4. 本文に「手順」「チェック項目」「例」「失敗時の分岐」などを書く
  5. 必要ならテンプレやスクリプトを同梱

ここで一番効くのは description の書き方です。 Copilotはdescriptionを見て「いつこのスキルをロードするか」を判断するので、 “どんな質問のときに使うべきか”を明確に書くのがコツです。

2-3. 既存スキルの導入は“フォルダコピー”

スキルは自己完結のため、導入はスキルフォルダを .github/skills/ に置くだけです。 ただしスキルはスクリプトを同梱できるため、出所を信頼できるものに絞り、 中身を確認するのが前提です。

3. 開発現場での活用例:何が“現実的に”変わるのか

Agent Skillsが強いのは、「AIに知識を足す」より「AIのやり方を固定する」点です。 資料にある代表例を、実務の視点で噛み砕きます。

3-1. テスト自動化(Playwright)

3-2. スキャフォールド/パターン固定

チームの標準実装(設計パターン、ディレクトリ構造、命名規約、例外処理、ログ設計…)を スキル化しておくと、Copilotの出力が最初から“その型”に寄ります。

3-3. ワークフロー自動化(TDD/マルチエージェント)

3-4. ドキュメント/運用手順にも効く

「障害対応」「リリース手順」「手順書生成」といった、 人が守っているプロセスこそスキル化の対象になります。 ツールがSlack投稿できても、どう事故対応するかは別問題。 そこをAIに“教える”のがスキルです。

4. VS Code 1.108の他の注目アップデート

4-1. Agent Sessions & Chat改善

4-2. Git:WorktreesとBlame強化

4-3. Terminal:IntelliSenseの挙動見直しと超大出力の改善

4-4. Debug / Accessibility / Profiles

4-5. 7,000件のIssue整理

約7,000件のGitHub Issuesを閉じる/トリアージしたという記述もあり、 “機能追加だけでなく信頼性を積み上げる” という姿勢が見えます。

まとめ:AIの“使い方”がファイルになった

Agent Skillsは「AIがさらに賢くなった」ではなく、 現場のやり方をAIに伝える方法が標準化された点が革命です。 これからは、プロンプトを頑張るよりも、 スキルとして運用を育てることが効いてきます。

← ブログ一覧へ戻る